企業による個人情報の漏えいが相次いでいる。2026年11月に入ってからも、サントリーホールディングスやノジマなどで、不正アクセスによる情報流出が明らかになった。
そんな中、株式会社NEXER Groupは、システム開発会社の株式会社TSSソフトウェアと共同で、全国の現在働いている男女300人を対象に「情報セキュリティ・個人情報保護への不安と信頼」に関するアンケート調査を実施した。
個人情報漏えいのニュースをきっかけに約2割がサービスを見直し
まず、個人情報漏えいに関するニュースを見て、利用するサービスや取引先を変更したことがあるかを尋ねた。
その結果、「ある」と回答した人は7.3%、「検討したが、変えなかった」は11.3%だった。実際に変更した人と、変更を検討した人を合わせると、約2割に上る。
一方、「ない」と回答した人は81.3%だった。

見直しのきっかけとしては、クレジットカード情報の流出や保険会社の情報漏えいなどが挙げられた。実際に契約の更新を見送ったり、別のサービスへの乗り換えを検討したりした人もいる。
また、「情報漏えいは怖いと思った」「他の会社も同じだと思った」といった声も寄せられている。
情報漏えいに不安を感じても、すぐに別のサービスへ乗り換えるとは限らない。利用者にとっては、乗り換えの手間や、新たに利用するサービスの安全性も判断材料になっているようだ。
個人情報を入力するとき安心できる条件は「SSL化」が最多
続いて、ウェブサイトやシステムに個人情報を入力する際、安心できると感じる条件について質問した。
最も多かったのは「SSL化されている」で49.0%。次いで「セキュリティ認証マークがある」が41.0%、「企業の規模が大きい」が24.0%、「プライバシーポリシーが明記されている」が21.3%となった。

SSLは、ウェブサイトとブラウザの間でやり取りされるデータを暗号化するための技術。現在は後継のTLSが広く利用されており、HTTPSはこうした暗号化通信を利用するウェブサイトで使われる通信方式だ。
URLが「https」から始まっていることや、ブラウザに鍵マークが表示されることは、利用者にとって確認しやすい目印となっている。
自由回答では、二段階認証やパスキーの導入、個人情報の利用目的や管理方法の明示なども挙げられた。
なかには「必要最低限の情報だけ入力するようになっていること」という意見もあり、企業側のセキュリティ対策だけでなく、そもそも収集する個人情報の範囲を重視する人もいる。
ただし、HTTPSによる通信の暗号化は、通信途中での情報の盗み見や改ざんを防ぐための仕組みであり、ウェブサイトの運営企業そのものの信頼性や、社内での個人情報管理まで保証するものではない。
64%が認証マークで企業への信頼感アップ!一方、意味を理解している人は44%
今回の調査で注目したいのが、セキュリティ認証マークへの印象と理解度の違いだ。
「ISMS認証」や「プライバシーマーク」などのセキュリティ認証マークを見ると、企業への信頼感が上がるかを尋ねたところ、「とても上がる」が12.0%、「やや上がる」が52.0%だった。合わせて64.0%が、信頼感の向上につながると回答した。

一方、「あまり変わらない」は23.7%、「まったく変わらない」は12.3%だった。
信頼感が上がる理由としては、「第三者による客観的な評価があるから」「セキュリティ対策に取り組んでいることがわかるから」といった声が寄せられている。
しかし、認証マークの意味を理解しているかという質問では、「よく理解している」が8.7%、「なんとなく理解している」が35.3%で、合わせて44.0%にとどまった。

「名前は知っているが、意味は分からない」は31.7%、「知らない」は24.3%。つまり、56.0%が認証マークの意味を十分に理解していないという結果になった。
認証マークを見ることで安心感を得ている人は多いものの、それが具体的に何を証明するものなのかまでは知らない人も少なくないようだ。
ISMS認証とプライバシーマークは何が違う?
今回の調査で取り上げられた「ISMS認証」と「プライバシーマーク」は、どちらも情報管理に関する取り組みを示すものだが、目的や対象には違いがある。
ISMSは「Information Security Management System」の略称で、日本語では情報セキュリティマネジメントシステムという。組織が保有する情報を適切に管理するための仕組みであり、ISMS認証は、国際規格ISO/IEC 27001に基づいて情報セキュリティ管理体制を構築・運用していることを第三者が審査する制度だ。
情報の機密性・完全性・可用性という3つの観点から、認証の対象となる組織や業務の情報セキュリティ管理体制を評価する。
一方、プライバシーマークは、個人情報を適切に取り扱うための体制を整備している事業者に付与される制度だ。個人情報保護に関する事業者の取り組みを示す目印として利用されている。
どちらも企業の情報管理体制を確認する際の判断材料になるが、認証を取得しているからといって、情報漏えいが絶対に起きないという保証ではない。認証の対象範囲や内容を理解したうえで、企業が実際にどのような対策を行っているかを確認することが重要だ。
企業選びでもセキュリティ対策が重要な判断材料に
調査では、仕事上の取引先や発注先となるシステム会社を選ぶ際、セキュリティ面をどの程度重視するかについても質問している。
その結果、「とても重視する」が20.0%、「やや重視する」が33.7%で、合わせて53.7%がセキュリティ面を重視すると回答した。

さらに、セキュリティ面を重視すると回答した人に、具体的な確認方法を尋ねたところ、最も多かったのは「セキュリティ認証の取得状況」で54.7%。次いで「セキュリティに関する実績・事例」が41.6%、「契約書・秘密保持契約の内容」が29.8%となった。

自由回答では、企業の公式サイトで情報を確認するほか、認証取得の有無を直接尋ねたり、セキュリティチェックシートや検査体制の報告書を確認したりするという意見もあった。
個人が利用するウェブサービスだけでなく、企業間の取引においても、情報を適切に管理できる体制が重要視されていることがうかがえる。
認証マークの有無だけでなく、企業の情報管理体制を知ることが大切
今回の調査では、個人情報漏えいのニュースをきっかけに、サービスや取引先の見直しを検討した人が約2割に上った。また、セキュリティ認証マークを見ると企業への信頼感が上がる人は64.0%だった一方、マークの意味を理解している人は44.0%にとどまった。
企業に個人情報を預ける機会が増えるなか、利用者がサービスの安全性を判断するための情報は、これまで以上に重要になっている。
認証マークは、企業の情報管理体制を知るための一つの手がかりになる。しかし、マークがあることだけで安全性を判断するのは十分とはいえない。
個人情報を入力する際には、通信が暗号化されているか、利用目的や管理方法が明示されているか、必要以上の情報を求められていないかなども確認したい。
何気なく目にしているセキュリティ認証マーク。その意味を知ることは、自分の個人情報をどの企業やサービスに預けるのかを考えるきっかけにもなりそうだ。
※本調査は株式会社NEXER Groupと株式会社TSSソフトウェアによるもの。調査期間は2026年10月16日~23日。対象は事前調査で現在働いていると回答した全国の男女300人。