【調査】『VIVANT』聖地巡礼で深大寺に約2万9000人が殺到! AIが紐解くドラマの巨大な経済効効果

テレビドラマや映画の舞台となった場所を実際に訪れる「聖地巡礼」。こうしたファンの行動は、地域経済にどれほどの影響を与えているのだろうか。

この分析を手がけたのは、マーケティング分析を行う株式会社秤。ドラマが生み出す人の流れと地域経済への影響を、データから読み解いていく。

『VIVANT』放送期間中、深大寺の来訪者が約2万9000人増加

株式会社秤が11月5日に発表した分析によると、『VIVANT』第2シーズンの放送期間にあたる7月26日から10月21日までの88日間、東京都調布市の深大寺では、約2万9000人の来訪増があったと推計された。

この人数は、今年の深大寺における初詣の来訪増加分として推計された約5万1000人の約56%に相当する。さらに、両シーズンを通じた旅行全体の消費額による経済効果は、約3億4500万円と試算されている。推計の幅は約1億8700万円から約5億5100万円だ。

注目したいのは、ドラマの放送翌日から人出の増加が確認されたことだ。分析では、第2シーズン全11回のうち10回で、放送翌日から4日間の人出が増加。最も大きな増加が見られたのはシリーズ通算第13話の放送後で、約54%増となった。

一方、比較対象として設定された調布駅北口では、同様の大きな変化はほとんど確認されなかったという。また、10月の深大寺の来訪者数は前年の約1.5倍となった一方、調布駅北口はほぼ前年並みだった。

こうしたデータから、地域全体の人出の増加だけでは説明できない、作品と深大寺の関係が浮かび上がってくる。

約3.4億円の経済効果はどう算出された?

今回の分析で使用されたのは、Location AI株式会社が提供する人流データ活用プラットフォーム「Location AI Platform®」だ。

スマートフォンの位置情報を匿名化・統計化し、特定のエリアにどれほどの人が訪れたのかを推計する仕組みで、2022年11月から約4年分のデータが分析に活用された。来訪者数の変化を調べるだけでなく、観光による消費額を掛け合わせることで、経済効果を試算している。

ただし、約3億4500万円という数字の意味には注意が必要だ。これは、来訪増加分に1人当たりの観光消費額を掛け合わせた、旅行全体の消費額の推計である。調布市内の店舗や事業者が実際に得た売上高や、市内に残った収益を示すものではない。

つまり、約3億4500万円がそのまま深大寺周辺の飲食店や商店の売上になったわけではない。それでも、ドラマをきっかけに人が移動し、観光地を訪れることで、新たな消費機会が生まれる可能性を示すデータとして興味深い。

深大寺には何がある?聖地巡礼だけでは終わらない観光資源

今回の分析で興味深いのは、ドラマの話題性だけでなく、深大寺そのものが持つ観光資源の豊富さだ。

深大寺は、奈良時代の733年に創建されたと伝わる歴史ある寺院。境内には、2017年に国宝に指定された「銅造釈迦如来倚像(白鳳仏)」が安置されている。豊かな湧水と緑に囲まれた境内は、武蔵野の自然や歴史を感じられる場所として親しまれている。

また、深大寺を訪れた際に楽しみたいのが、名物の「深大寺そば」だ。江戸時代から続く食文化として知られ、現在も門前には多くのそば店が軒を連ねる。

そばだけでなく、そばまんじゅうなど、そば粉を使った商品や各店のオリジナルメニューも楽しめる。さらに、近隣には都立神代植物公園がある。約4800種類、10万本・株の植物が植えられ、四季折々の花や緑を楽しめる都内有数の植物公園だ。

寺院への参拝、名物のそば、自然散策を組み合わせられることは、深大寺エリアならではの魅力といえる。つまり、ドラマをきっかけに初めて深大寺を訪れた人にとっても、ロケ地を見て帰るだけではない楽しみ方が用意されているのだ。

聖地巡礼を地域の消費につなげるには

ドラマや映画のロケ地を訪れる聖地巡礼は、ファンにとって作品の世界をより深く楽しむための体験だ。一方で、地域にとっては、これまで接点のなかった人々に街を知ってもらう機会にもなる。

ただし、来訪者が増えることと、地域の事業者に経済的な恩恵が行き渡ることは同じではない。例えば、ロケ地を訪れた人がそのまま帰ってしまえば、周辺の飲食店や商店での消費にはつながりにくい。

地域全体に波及させるには、来訪者が街を歩き、食事や買い物を楽しめる仕組みが必要になる。

具体的には、ロケ地と周辺の観光スポットを組み合わせた散策マップの作成、地域の飲食店や土産物店を紹介する企画、期間限定の商品やイベントなどが考えられる。

深大寺周辺には、すでにこうした周遊を支える観光インフラがある。調布市観光協会では、日本語のほか、英語、中国語、韓国語に対応した「深大寺散策マップ」を発行している。また、調布市観光ボランティアガイドによる無料ツアーも実施しており、深大寺の歴史や文化を知りながら周辺を巡ることができる。

こうした既存の取り組みとドラマの話題性を組み合わせれば、聖地巡礼をきっかけに訪れた人に、深大寺の歴史や食文化、自然の魅力を知ってもらう機会を増やせるだろう。大切なのは、作品の人気に頼るだけでなく、訪れた人がその街ならではの体験を楽しめるようにすることだ。


<出典・参考>

株式会社秤
今回の『VIVANT』の人流データ分析・経済効果の試算を実施。マーケティング分析や戦略コンサルティングを手がける。
公式サイト:https://www.hakari-corp.com/

Location AI株式会社
位置情報ビッグデータを活用した人流分析プラットフォーム「Location AI Platform®」を提供。今回の分析に人流データを活用。
公式サイト:https://location-ai.com/

Anthropic(Claude)
生成AI「Claude」を開発・提供。今回の分析資料の作成に活用された。
公式サイト:https://www.anthropic.com/

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ハラカズコ

メディアライター

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