映画がつなぐのは、スクリーンの向こう側にある世界。
2026年10月26日(月)から11月4日(水)まで、東京・日比谷、有楽町、丸の内、銀座エリアなどで「第39回東京国際映画祭」が開催されます。
今年のテーマは「CONNECT―映画が繋ぐ、その先の世界」。
作品を楽しむだけでなく、映画を通じて異なる文化や価値観に触れられる10日間。その見どころを紹介します。
1. 名曲誕生の物語を描く『「SUKIYAKI 上を向いて歩こう」』

映画祭の幕開けを飾るのは、『SUKIYAKI 上を向いて歩こう』です。
1963年、全米ビルボードチャートで3週連続1位を獲得した名曲「上を向いて歩こう」。本作では、この楽曲を生み出した作曲家・中村八大、作詞家・永六輔、歌手・坂本九の3人の出会いと、音楽に情熱を注いだ日々が描かれます。
中村八大役を岡田准一、永六輔役を松坂桃李、坂本九役を仲野太賀が演じ、監督は瀬々敬久が務めます。
一つの楽曲が国境を越え、世代を超えて愛されるまでには、どのような出会いや葛藤があったのでしょうか。
音楽が生まれるまでの情熱や、時代を超えて受け継がれる名曲の力に触れられる作品です。音楽ファンはもちろん、昭和の文化や日本のポップカルチャーに関心がある人も注目したい一本です。
なお、同作の一般公開は2026年12月25日(金)を予定しています。
2. 『ゴジラ-0.0』が映画祭の中盤を彩る

映画祭のセンターピース作品に選ばれたのは、山崎貴監督の『ゴジラ-0.0』です。
第96回アカデミー賞で視覚効果賞を受賞した『ゴジラ-1.0』のその先を描く本作。戦争によって失われた日本が復興へと歩み始めた時代に、新たな脅威が襲いかかります。
監督・脚本・VFXを山崎貴が担当し、神木隆之介、浜辺美波らが出演します。
ゴジラシリーズの魅力は、巨大な怪獣がもたらす圧倒的な映像体験だけではありません。災厄に直面した人々の姿や、社会が抱える不安を映し出してきた点にもあります。
最新作では、どのような物語と映像表現が展開されるのでしょうか。映画館の大きなスクリーンでこそ味わいたい、特撮映画の醍醐味にも期待が高まります。
なお、一般公開は2026年11月3日(火・祝)を予定しています。
3. 日本映画の新たな才能を世界へ「Nippon Cinema Now」がコンペティション部門に
今回の映画祭で注目したい変化の一つが、日本映画を海外に発信する「Nippon Cinema Now」部門のコンペティション化です。
これまで日本映画の「今」を世界に紹介してきた同部門に、今年から「Nippon Cinema Now作品賞」と「Nippon Cinema Now審査委員賞」が設けられます。
日本映画の新たな才能を発掘し、国際的な舞台へと送り出すことを目指す取り組みです。
映画祭は、完成した作品を上映する場であると同時に、次の時代を担うクリエイターと出会う場でもあります。
まだ広く知られていない監督や作品を発見し、その表現に触れることは、映画ファンにとって大きな楽しみの一つ。これから国際的に活躍する映画人の作品に出会えるかもしれません。
4. 東南アジア映画の魅力を発見する新部門「CROSSCUT ASIA+」
アジアの映画文化に関心がある人におすすめしたいのが、新設部門「CROSSCUT ASIA+(クロスカットアジア・プラス)」です。
国際交流基金との共催で始まる同部門は、日本と東南アジアの映画プログラマーが協働し、アジアの多様な映画文化を紹介する取り組みです。
映画には、その国の歴史や社会、暮らし、人々の価値観が映し出されます。日本ではまだ広く知られていない作品に触れることで、ニュースや観光情報だけでは見えにくい、それぞれの地域の姿を知るきっかけにもなります。
異なる文化を知ることは、自分が当たり前だと思っていた価値観を見つめ直す機会にもなるはずです。普段は観る機会の少ない国の作品にも、ぜひ目を向けてみてはいかがでしょうか。
5. 映画文化を支えてきた女性たちに光を当てる
映画祭では、映画文化の継承と発展に貢献してきた女性に目を向ける新たな取り組みも始まります。
その一つが「川喜多かしこ映画文化賞」です。
川喜多かしこは、海外の優れた映画を日本に紹介し、日本と世界の映画文化をつなぐ役割を果たした人物です。その功績を未来へと受け継ぐため、日本と海外の映画文化の振興に貢献した女性を顕彰する賞が創設されました。
第1回の受賞者には、映画評論家の秦早穗子が選ばれました。1950年代からフランス映画をはじめとする数々の作品を日本に紹介し、ジャーナリスト・批評家として映画文化の交流に貢献してきた人物です。
映画の製作や出演だけでなく、作品を日本に届け、保存し、次の世代へ伝える活動にも光を当てる今回の取り組み。スクリーンに映る物語だけでなく、その物語が観客に届くまでの背景にも目を向けることで、映画の楽しみ方はさらに広がります。
6. 韓国発のパニック・アクション『コロニー/群体』がフィナーレを飾る

クロージング作品には、ヨン・サンホ監督の『コロニー/群体』が選ばれました。
『新感染 ファイナル・エクスプレス』で知られるヨン・サンホ監督が手がける本作は、未知のバイオテロによって封鎖された高層ビルを舞台に、進化する感染者との戦いを描くパニック・アクションです。
感染者たちが集団知性を持ち、進化し続けるという設定も見どころの一つ。逃げ場のない状況で、人間はどのように危機に立ち向かうのでしょうか。
オープニング作品の音楽ドラマ、センターピースの特撮大作、そしてクロージングのパニック・アクション。映画祭を代表する3作品だけを見ても、異なるジャンルの映画が一堂に会することが分かります。
自分の好きなジャンルを楽しむのはもちろん、普段は選ばない作品に挑戦してみるのも、映画祭ならではの過ごし方です。
映画を観ることで世界との距離が少し変わる

映画には、異なる国や時代に生きる人々の感情を、物語を通して自分のことのように感じさせる力があります。知らなかった文化に出会い、遠い国の出来事を身近に感じ、自分とは異なる価値観を持つ人への理解を深める。そんな体験も映画を観る醍醐味です。
今年は話題作に加え、日本映画の新たな才能を発掘する取り組みや、東南アジアとの文化交流、女性映画人の功績をたたえる新たな賞にも注目が集まります。
日比谷・有楽町・丸の内・銀座エリアなどを中心に、10日間にわたって開催される東京国際映画祭。気になる作品を探しながら、スクリーンの向こうに広がる世界に触れてみてはいかがでしょうか。
第39回東京国際映画祭 開催概要
- 開催期間: 2026年10月26日(月)~11月4日(水)
- 主な会場: 日比谷・有楽町・丸の内・銀座エリアなど
- テーマ: CONNECT―映画が繋ぐ、その先の世界
※上映スケジュール、チケット情報、各作品の詳細は公式サイトをご確認ください。